花鳥風月

「花」

今年の晩春、私の心に
《あなた》という一輪の花が咲きました。
時を経て痩せてしまっていた心の土に
初めて咲いた花でした。

誰にも分かってもらえずに、
いつだって無理に張りつめて
背伸びしていた昔の私…。
あなたが初めてだったんです。
私の思い全部、
その両手で包み込んでくれた人。

何も言わずに、ただ静かに咲いている
《あなた》という一輪の花は
私の一生の宝物。
これからもずっと、私の側で
咲いていてくださいって言ったら
その花は笑って頷いてくれた。

「鳥」

昔は大空を飛ぶ鳥たちを見て
「自由っていいなあ」って思っていました。
あの青い大きな空間は自由なんだって、
本気で思いこんでいたんです。

でも、そうじゃないんだなって、
あなたに会えてからようやく気づけました。

昔の私があなたに会えずに
あのまま変わらないでいたとしたら、
私は世界一不自由な人間だったでしょう。

私に本当の自由を教えてくれた
あなたの側こそ私の自由がある、
そんな気がしてなりません。

「風」

部屋に吹き込むそよ風が
こんなに意地悪く思えたのは初めてです。

風は世界を巡る奔放な旅人。
だからなんでも知っているものしりさん。

それなのに。

それなのに風は何も教えてくれない。
あなたが突然死んでしまったその理由、
絶対知ってるはずなのに。

私の頬をなでていく風があったかくて、
ほんの刹那、あなたの手みたいに思えて、
思わず泣いてしまいました。

あなたに会いたくて、
会いたくて、会いたくて…。
こんな私の思い、
風は届けてくれるでしょうか?
天国のあなたへと…。

「月」

小さい頃、月も他の星みたいに
自分の力だけで光ってると思ってたけど、
実は地球や太陽や
他の星の力に支えられて光ってる。

私も月とおんなじ。
今の私があるのは、あなたに出会って
あなたと同じ月日を過ごしたから。
あなたの残してくれた《光》で
私は精一杯自分らしく光りたいと思います。