放課後――。
美術室に立ち寄っていろいろな作品を拝見していたら、いつの間にか日が沈み始めておりました。
この後は光鈴さん(b47320)に教えて頂いた結社「刹月の光鍵」へとお邪魔しようと考えていたのですが、
このような時間では帰宅が遅くなってしまいます故、本日は道順を確かめるだけにすることに致しました。
その場所は、確かに銀誓館学園からさほど離れていないのに、どこか違う場所へ迷い込んだかのように綺麗なところでした。
何となく実家に似ている築地塀、木造のしっかりした門、そしてその向こうにちらりちらりと覗く松、そして……
(「あれは…曼珠沙華、ですよね……?」)
紅、白、桃…彩り鮮やかな曼珠沙華が、門や塀の向こうに見えるのです。それも、お庭のいたるところに。
本来ならば、今は曼珠沙華の咲く季節ではないはずです。
それなのにあんなにも美しく咲いて、夜闇に幻想的なまでに映えて…これは一体どういうことでしょう?
私は、道順を確認するだけという予定も忘れ、ゆっくりお屋敷の中へとお邪魔することにしました。
* *
門を叩いてみても反応が無く、少し押したら開いてしまいましたので、私は失礼ながらこっそりお庭を拝見することに致しました。
一面に砂利が敷かれ、お屋敷まで飛び石が設けられているその上を通りながら、ここが大変立派な造りのお屋敷であることを改めて実感致しました。
このような大きなお屋敷を結社の活動場所にできるとは、果たしてどのような方々がいる結社なのでしょう?
心なしか、我が一族の縁者のお家に参上したときのような気分になって参ります。
やがて、片手に紅色の影が見えたので、私はそこで方向を変えて其方へ向き……思わず息を呑みました。
とうに日が沈み、夜闇に染まり始めた空の下。
三日月形の池が星々の光を受けて煌めき、
周りにあふれんばかりに咲き誇る曼珠沙華達が
その輝きを受けて清かな風に花を震わし……。
――それは、幻とも現ともつかぬような、まことの絶景でございました。
私は、そのままどれ程そこに佇んでいたのでしょうか。
不意に、手に提げていた鞄から携帯電話の振動を感じて我に返れば、辺りはすっかり暗くなっておりました。
幸い空が良く晴れており、満天の星明りで全くの闇とはなっていなかったことに、ほっと安堵の息が漏れます。
携帯電話の振動は、まりあさんからのメール受信でした。
『お疲れ様、泰花!
今日は早速何か歓迎会でもあったのかな?
もう結構暗くなっているでしょう?
駅まで迎えに行くから、帰る時には連絡してね! 』
(「まぁいけません……! 早く帰らなくては!」)
私は携帯電話をしまいなおすと、後ろ髪を引かれる様な思いで足早にお庭を失礼致しました。
というのは、そうしなければきっと、いつまでも立ち去れなくなってしまいます故……。
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あとがき。
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はい、昨日第2弾を書いたばかりなのにもう第3弾を書きました、月城まりあです。
こんな執筆速度は実に久しぶり。これまでよっぽど「書きたい!」が溜まっていたんだなぁ…と我が事ながらしみじみしちゃいます。
今回は、泰花(b58524)以外は登場しない静かなSSに仕上がりました。
結社の皆さんの出演許可を頂いていないのでそうならざるを得なかったのもあるんですが、結社「刹月の光鍵」の看板ピンナップの美麗さを描きたかったからでもあります。
誰かとの会話が入っちゃうと、どうしても「静の美」(?)が出しづらい気が……ハイ、ただの実力不足デスネ(汗)
今回は執筆中もずーっと看板ピンナップを拝見してました。
正確に描写したかったのと、初めて見た時の感激をちょっとでも再現するためと。
やー、素敵ですね、ほんと。額に入れて自室に飾っちゃ駄目ですか駄目ですよねorz(←
ちなみに、またしてもプレイヤー視点から話をさせて頂くと、本当はここで一切引き返さずそのまま入団申請してます(笑)
だって、だって…ねぇ? 友達が背後人してるキャラクターもいるから初めての結社にするにも安心だし、ピンナップには一目惚れするし、加えてちょっと掲示板の書き込みを拝見したら賑やかそうだったし……!
きっと、「刹月の光鍵」では末永くお世話になると思います。(ぺこり)
でもね、でもね……ひとつだけ、ここだけの話。
私、「刹月の光鍵」の読み方が分からないのです!(ぉ
「せつげつの…??」なんでしょうね?後半。「ひかりかぎ」じゃ語感が悪いし、「こうかぎ」かなぁ? …うーむ。
誰かコッソリと、このお馬鹿な月城まりあに教えてやってくださいませ。
ではでは、このたびはこの辺でっ。
漢字力が不安な月城まりあでした〜。